一刀流の概要

(一刀流中西派八代宗家 高野甲子郎弘正 先師揮毫の「水常に形無し」)

一刀流中西派とは剣道の稽古法を作り出した流派です。


木刀や日本刀(真剣)の刃を引いて落として切れなくした刀(いわゆる「刃引き」)を使って、日本剣道形のような形を稽古します。


●一刀流中西派は古流と呼ばれる200とも300ともいわれた流派のなかでも最も古くから伝わってきた流派の一つです。

●組太刀(くみたち)と呼ばれる形を大太刀56本、小太刀5本、合小太刀6本稽古します。これが基本です。

 その他に、刃引11本、払捨刀7本、五点5本、五行5本の形を稽古します。

  あわせて95本、打太刀、仕太刀の部がありますので2倍、190の形を覚えることになります。

●関ヶ原の戦の頃、今から400年ほど昔に出来た技と形ですが現代にその形が伝わってきているのは素晴らしいことです。まさに日本の伝統文化といえるでしょう。

 

●江戸時代の頃、柳生新陰流とともに一刀流小野派も将軍家指南役として仕えてきましたが、その小野派を稽古していた中西派初代の中西忠太子定が現在の東京秋葉原に道場を建て、一般庶民に道場を開放し誰でも形稽古が出来るようにし、さらに、決まりきった手順をなぞるだけの形稽古に飽きた門人向けに組太刀の欠点を補う目的で二代目の中西忠蔵子武とともに、いまでいう防具と竹刀を開発し、臨機応変の打ち合い、試合が出来るように稽古法を考案しました。この臨機応変の技の応酬が庶民に受け一日に2000,3000人もの出入りが道場に在ったといわれるほど盛況となり、三代目の中西忠太子啓を経て、四代目で歴代宗家最強と言われた中西忠兵衛子正で一世を風靡しました。

 

●当時は、従来の組太刀主体の形稽古から試合稽古中心の竹刀稽古へ人気がシフトしていったことの弊害を問題視し、思い悩む最強宗家の中西忠兵衛子正の葛藤する心情も文献から読み取れます。

 まるで、現代の試合重視・勝負偏重の剣道に思い悩む現代剣士の姿をダブらせて見るようです。歴史は繰り返すものですね!

 

●組太刀から竹刀剣道が発生して来たので、竹刀剣道の基本はかなりこの一刀流で学ぶ事ができます。

 また、日本剣道形もその中に一刀流の技が各所にちりばめられていますので、一刀流を学ぶ事で剣道や日本剣道形の本質を理解することができます。 本当に日本剣道形を学びたい方はまず一刀流を学ぶ事をお薦めします。

 

●一刀流を学ぶ事で自分の剣道の向かうべき方向性がはっきりと認識できるという利点があります。

 これは歴史の真実です。

 

●自分の剣道に迷っている剣士、これから剣道を始めたいと思っている初心の方、剣道はしてみたいけどいまさら激しい剣道の稽古にはついていけないなあとあきらめている年配の方、体当たりなど体の接触はいやだわと思っている女性の方、これから年をとり頭のボケ防止になにか始めてみたいと思っている方などなど、これらの人には最適な一刀流形稽古です。

 ぜひ一度、道場にいらっしゃって見学してみてはいかがでしょう。

 

●そして、日本の歴史を学ぶ事として古典の研究も欠かせませんので、古典を通して日本の歴史の真実も一緒に勉強してしまいましょう。

 

 一刀流中西派を稽古する本当の目的は「真の日本人になること」なのです。